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小生d1.2takaの写真日記その他でございます<(__)>


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竜宮島・アヤ版~台詞集

【scene1】
竜宮島。漁師の島にヨットハーバーを誘致しようとしている。
僕は島太郎。
この島へ来たのは社用...アーバン・リゾート・アドバタイザー社がその誘致の広報を引き受けたからだ。

「島さん...島太郎さん?」
サングラスをかけた妙齢の女性。
長袖の上衣にショートパンツ、足はいかにも当節らしく上げ底のヒールを履いている。
「はい、そうですが?」
あなたは、と続けるつもりで訊いた。
「観光協会にあなたの案内をするように言われてきました。
乙姫アヤです」
サングラスをかけたままだ。相当に変わったコだな、と思いつつ尋ねる。
「乙姫さん、島の人ですよね?」
「アヤ、って呼んでください。それに、もっとくだけた話し方でいいですよ。
肩、凝るでしょ?」
「失礼な。まだ、そんな年じゃない」

アヤ自身のことを訊くことにしよう。
「アヤ?片仮名で書くの?」
「島の内々の話でさ、二代続けて島の者どうしで縁組みしちゃいけないって暗黙の掟があるの。
うちはおじいちゃんが島の者どうしでだったから、父さん困ったみたい」
「血が濃くなっちゃうからか。そうだろうね」
「父さん、長男なのね。
島に母さんを連れて帰るには、既成事実つくっちゃうしかないって....」
「ストレートだね」

初対面の僕に、よくこういう話をする気になるな、と少し驚いた。
「アヤ、って読みはすぐ決められたみたい.。
父さんは最初のなれそめがラブレターだったから[文]、
母さんはお産のときに七色の光が見えたから[彩]だった、って聞いた。
「間をとって片仮名、かな?」
「そうなの」
サングラスを外して微笑む姿。。

【scene2】
夕暮れの西の崎の案内をしたいから、とアヤが言ってきた。
島一番の夕陽の名所らしい。
「今日は曇っててダメだわ」
「いや、そんなことない。写真でなら、ほら」
僕は仕事用に持ってきたカメラで、アヤを撮りまくった。

【scene3】
夕陽が落ちたのを見届けての帰り道。
港の山手にある壊れかけた建物。
元・水産加工場だとアヤが教えてくれた。
中を照らすため、夜道を歩くために持ってきたLEDライトを点ける。

「どうして廃墟になってるって分かったの?」
「人がいたら壊れっ放しにしないところがそのままだったら、だいたいそうだ。
...まだ道具が残ってるんだね」
「すごく楽しそう」
「あぁ、趣味でさ」
「こういう廃墟の、何が好きなの?」
「人の想いの残ってるところ、かな。
商売繁盛とか地域興しとか、そういう夢や希望だけが取り残されて...
棺のように横たわってるのが」
「夢の、棺?」
「棺の中はその骸(むくろ)だ。過去の夢の姿が垣間見えても、現在につながる結果は変わりはしない。
それがそこの、運命だから」
「島さんは世の中の無常を見てるのね。
でも私は....運命になんか、従わないから」

【scene4】
神社に赴くアヤ。
巫女装束を身にまとっている。

「アヤ、分かっておろうな?掟は守らねばならんぞ」
「承知しております...
 ニエを定めるのは島巫女。ならば、私がワラ人形をニエと定めたならば」
「あのよそ者をニエとせずに何とする」
「ですが宮司様、もうそんなことは改める頃合いではないのですか」
「そのような心持ちで龍神様の怒りを鎮められるとでも申すか。
しかと決心をつけてから参れ。それまでは顔も見とうないわ」

【scene5】
台風の高波の中。
浜辺や岬に波頭が砕けている。

「こんな嵐の中でごめんなさい」
「いいんだ。でも昨日はどうしたの?
アヤに案内してもらえると思ってたんだ」
この島で珍しいお祭りでもないかと聞いた僕に、アヤが答えてくれた。

「この島には『島巫女』っていう習わしがあってね。
12年おき...辰年のたびに。
海の怒りを鎮めるために、『島巫女』が選んだニエ(注.いけにえ)を捧げて」

「ニエって...ワラ人形とかだよね?」

アヤは直接答えない。
「島巫女は、次の島巫女にその座を引き継ぐまで、島を離れることを許されない。
それが掟。
私はこの島の外の世界を知らない」

そのときの僕は、アヤが何を言おうとしているか、まるっきり理解できていなかった。
せいぜい、アヤがワラ人形を手編みで作るんだろうくらいにしか。
だから、大して考えもせずにこう訊いた。
「ニエが見つからなかったらどうするの?」

「そのときは、『島巫女』自身がニエになるの」

【scene6】
再び神社。
巫女装束のアヤが拝殿に正座している。

「決心はついたか」
「はい、宮司様。私が...ニエになります」
「それでよいのか。相違ないな、アヤ?」
「はい」
「あのよそ者に惚れたか。二言はないな?」
「ございません」

(太郎さん、あなたに手出しはさせない。絶対守るから)

【scene7】
祭りの日が近づくにつれ、島にただならぬ雰囲気が漂ってきていると感じた。
そして祭りの日。
島の洞窟の入り江に、巫女装束のアヤが立っている。

「そのときは、『島巫女』自身がニエになるの」
アヤの言葉がフラッシュバックすると同時に、僕はこの事態の意味を悟った。

「アヤ、やめろ」
僕がニエになるはずのところを、島巫女のアヤが身代わりになるつもりなのだ、と。

「島の掟だ。止められては困る」
神主に組み止められた僕。
アヤは取り乱しもせず、静かに微笑んでいる。
くちびるだけ動かして何か言ったようだが、読み取れない。

「運命になんか従わないって言ったのは、ウソか。アヤ!」

(信じて)

【scene8】
時限送信されたメールが「僕」に届いた。
アヤからだった。
「私を最後の『島巫女』にしてください」と。
デジカメで撮ったらしい、古文書の画像データが添付されている。
命からがら、殺意が充満したままのような島を脱出した僕は、全てを世間に知らせると決めた。。

本土の所轄の警察に、僕は捜索願いを出した。
アヤをああいう運命に追い込んだ張本人に、少しでも償いをさせたいと思ったからだった。
しかし。
「その人の居住の事実はありませんよ」
「身内とされる方の捜索願いもない」
あろうことか、警察では狂言扱いされる始末。

残るは古文書のデジタル画像だが、達筆すぎて僕の手に負えない。
人身御供の事実が立証されても、とうに時効だろうし。
手詰まりの感が深くなってきた...。

【scene9】
それでも、古文書の解読を引き受けてくれる研究室があった。
中島研究室の助手、八島さんというこれも妙齢の方が返答をくれた。
「竜宮島は、海賊の跋扈するところだったようね。
そのころに、島巫女の祭りができあがった」
「島巫女がニエを選ぶというのは...」
「海賊の被害者。おそらく復讐と報復を兼ねていた、と思わせる部分がある」
「でも、近世になってまでそうする必要はなかったはずですよね」
「海賊に対抗するため島の人が気勢を上げる方便だったろうけど。
血に酔ったあとで、ああいう無残な儀式を共同体として必要とするように変質してしまったのだと思う。
...今のあなたには、残酷に過ぎる話だわね。忘れて」

【scene10】
元・学校の廃墟テーマパーク。
うやむやになった竜宮島の次の、僕の仕事場だ。
まだ再整備前で、空虚さと乱雑さが奇妙に入り乱れている。

好天で明るい校舎の中。
二度と聞けるはずのない声が僕に呼びかける。
「太郎さん」
アヤ、どうして...?

【scene11】
「お仕事中にごめんなさい。どうしても...」
「謝られる覚えはない。
それに、だ。君より大事なことが、僕にあるとでも思うのか」

「島では説明できなくてごめんなさい。
島の若い人に、あの祭りを認めない人が何人もいるから、協力してもらったの。
浜の離岸流で姿を消して、沖合の舟で拾ってもらって」
「よく合流できたね」
「防水ケースに入れたスマホよ、GPS情報をやりとりして。他にも色々細工したし」

「島巫女の運命を、それで乗り越えられたわけだね」
僕は少しにやりとして言った。
「そうよ。だって私は...
運命になんか、従わないから」
期待どおりだ。アヤはきっとそう言うと思ったから。。
by d12taka | 2013-09-19 09:02 | フォトストーリー